貴金属加工_136&137
こんばんは。
今週は、土曜日の学校へ行く為にあったと言っても過言ではありません。
木目金で何かを作るを目標に日々仕事をこなしつつ、準備をしていました。
先週の日曜日からです。
事前に切り出して準備していた銀と銅の地金の表面を荒らすところからです。
地金の表面を荒らすと、木目金を作る際の拡散接合が促進されるらしい。
歪んだ面を並行にする為に加熱してなましていたので、酸化した表面が
ボロボロ取れて凹凸が出来てしまっていました。
可能な限り表面を綺麗スポンジヤスリで削り落とします。
銀10枚と銅8枚の表と裏と側面…1時間かかりました。
次は酸洗いです。
ガラス瓶の中に酸洗い用の粉を入れて、お湯を注いで酸洗い液を作ります。
張り切ってちょっと多めに作ってしまいました。
準備した地金を酸洗い液にそのまま入れてみます。
うりゃっ。
表面から泡が出てきたりとかは特に無かったですが、少し濁った気がします。
毎日表裏をひっくり返したりかき混ぜたりをしましたが、細かい粉のような物が
結構沈殿しています。
研磨剤や酸化被膜に付いたカスかなと思います。
金曜日まで漬け込みました。
酸洗い液を落とすために中性洗剤で洗います。
本当は超音波洗浄機が良いみたいですが、持っていません。
酸化被膜の除去と油脂の除去が拡散接合をする際には、重要な下準備です。
なので、ゴム手袋をしながら作業しました。
ゴシゴシ洗って汚れと洗剤をしっかり洗い流します。
水から出してからは時間との勝負です。
空気に触れると酸化が始まってしまうので、結構急ぎます。
キッチンペーパーで水分をしっかり拭き取ります。
ここで事前に準備していた、上下にクランプする為に使うプレート(角ナット)に
離型材を塗布します。
銀と銅順に重ねてサイド3面に渡ってセロハンテープを貼ります。
ズレ留めの為の仮止めです。
上下にプレートをおいて、ズレないようにカラゲ線を巻いておきます。
弛んだらいやなので、ぐるぐる巻きにして出来るだけ空気に触れない様に
チャック付きの小袋に入れて学校へ行く準備の完了です。(金曜21時)
そして、朝学校へ。
授業開始の時間になる前に、鋳造から返ってきた印台リングの処理をしていきます。
湯口を糸鋸で切り落とします。
ヤスリで面を整えたら芯金に通して真円を出します。
ここまでやったら刻印まで打っておきたいです。
ちょっと見辛いですが、リングの側面のラインに沿って打ちました。
センターに打とうとすると厚みが邪魔をして打てない為、ズラしました。
彫金の現場ではセンターに打たないことも良くあるみたいです。
むしろセンターに打つ決まりはないので、打てるところで邪魔にならない箇所に
刻印を打てれば良いそうです。
僕はセンターが好きですけどね。
大分時間を使ってしまいました。
木目金用の地金と上下のプレートを針金で限界まで締めあげて加圧します。
針金を画像の様に曲げて準備したら、万力と一緒に挟んでペンチで締めます。
プレートも悲鳴を上げるほど締め上げてやりました。
むしろプレートの厚みが2mmなので、もう少し厚くても良かったです。
若干それぞれの辺が曲がってしまいました。
加熱していきます。
拡散接合は、加熱と加圧で行います。
表面に酸化被膜や汚れに油脂等が極力ついていない状態の地金を重ねて、
加圧の後に加熱をすることでそれぞれをくっつけます。
かまくらの様に囲いを作って、地金を中に入れます。
バーナーで加熱して溶けるか溶けないかの温度にして5分間以上キープします。
途中表面がキラッとして溶けそうになったら、バーナーの空気量を少なくして
温度を下げますが、火を常に当て続けます。
溶けかけると火を地金から離してしまうクセが付いているので、凄く怖かったです。
何とか5分以上耐え抜いたら常温で徐冷します。
水に浸けるなど急冷してしまうと割れるので絶対にしてはいけません。
同じく熱いまま希硫酸等で酸洗いしてしまうと同様に割れてしまいます。
基本酸洗いはせずに鍛造で加工していきます。
冷めたら針金を取って上下のプレートも外していきます。
画像で見えている地金の2面は少し溶けてしまっていますが、少しなら大丈夫です。
離型材を塗布していた上下のプレートは、少しの貼り付きも無く取れました。
(↑シリコンスプレーです)
外したら段になっているところと、角を金属ヤスリを使って削っていきます。
この後地金を叩いて薄くしていくのですが、地金が一部はみ出していると
その部分の地金が飛び出て薄くなっていきます。(飛び出た部分が割れます)
角を削るのは引っ掛かりを無くす為で、削る方向にも気を付けます。
貼り合わせた向きと直角方向?クロスするようにヤスリを動かすと
ペリペリ剥がれかねないみたいです。
雰囲気はくっ付いてそうですけど、叩いて伸ばして切って…最後まで気が抜けません。
おおよそ段と角を削ったので、金槌を使って叩いていきます。
ただし、熱いまま叩いていきます。
加熱したら大きめのピンセットなどで把持して、地金を渦巻き状に叩いて薄くします。
大体5mm(後述)になるまで叩いて加熱してを繰り返します。
ひび割れが見えるでしょうか。
叩いている途中で地金が飛び出してきたまま叩き続けた結果です。
出てきたなと思い始めたら、一旦手を留めて冷ましてヤスリで削り落としましょう。
木目金の基は出来ました。
今回は、3種類の模様を作る予定です。
①木目模様
②波模様
③ネジって十字模様
上記の3種類です。
どんな模様、厚さにするか最終形を想定して叩いて薄くする厚さを変えていきます。
まずは、③を作るために厚みを5mmに設定しました。
先生からお借りしたサンプル。
真ん中が幅5mmで厚さ5mmの地金です。
を、ねじった物が下でそれを叩いてローラーで引いた物が上です。
まずはコレを作ります。
地金が極力無駄のないように…まずは糸鋸で綺麗な面を出して
5mm幅に切っていきます。
ジャジャーンっ!
まずは剥がれも無く断面も問題なさそうです。
地金を結構持って行かれましたけど、まだ使える部分は残っているので
ひとまずネジネジします。
…
失敗しました。
万力でクランプしてペンチで反対側を掴んでねじってみましたが、
硬くねじれなかった上に、少し剥がれてしまいました。
一応なましていたんだけどなぁ…
まだこの地金は使えるそうなので、次はなましてすぐをねじってみます。
来週へ続く。